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[No.5088] 読み方の質問 投稿者:読み方の質問  投稿日:2023/01/30(Mon) 09:13:00
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質問してもよいものか悩みましたが教えていただけたらと
思います。
口中に広がる風味は〜という文の中の「口中」はやはり辞書にあるように「こうちゅう」とした方が良いでしょうか。「くちじゅう」の方が分かりやすいというか話し言葉としてはこちらの読みに馴染みがあるのですが、辞書にはなかったので正しい読みではないのでしょうね…。本の内容は食べ物やお酒のお話です。


[No.5089] Re: 読み方の質問 投稿者:えむ  投稿日:2023/01/30(Mon) 23:03:18
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正しい答はわかりませんので、個人的な考え、感じ方みたいなものを書いてみます。
すみません、多分お役には立たないと思います。

「こうちゅう」というのは、確かにわかりやすい読みではありませんね。
漢語と言うのは、音だけでは意味がとりにくいことが多いです。
許されるなら「くちのなか」とでも書いてしまいたい気分です。…なかなかそうもいきませんが。
ただ、食事やお酒の話であるなら、前後関係から推測できるのではないかとも思います。
きっと、その類のことはたくさんあるのでしょう。
うまく訓読みできることのほうが少ないのではないでしょうか。

それから、「こうちゅう」と「くちじゅう」は、少し違う意味ではないかと思います。
「こうちゅう」は「口の中」です。
「くちじゅう」は、これももちろん「口の中」なんですが、「口の中全体」みたいな意味合いだと思います。
「中」を「じゅう」と読むと、たいていそんな意味になります。
「日本じゅうに棲息している」と言うと、日本のどこにでも、という意味です。
「部屋じゅうに落ちている」と言うと、部屋の中の1箇所ではなく、部屋全体に落ちていなければなりません。
「体じゅうに傷を負う」と言うと、どこか一部ではなく、全身くまなく、という感じです。

それでいくと、「こうちゅう」だと、まさに、口の中に風味が広がるんですが、「くちじゅう」だと、口の中全体に、隅々にまで広がる感じでしょうか。
この場合には「広がる」という言葉があるので、起こることはどちらでも一緒なんだけれど、ただ、ニュアンスがちょっと違いそうです。
「くちじゅう」だと、隅々に行きわたる、その到達点がより強調されている気がします。

辞書に「くちじゅう」の読みがないのは、この字をそう読まないということではないと思います。
たとえば「世界中」「街中(まちじゅう)」「体中」などの見出し語がないのと同じで、「じゅう」と読む場合の「中」が接尾語だか造語要素だかで、そういうものがくっついた状態の言葉は、普通、見出し語にはしない、ということだと思います。

うまく言えないんですが、「こうちゅう」と「くちじゅう」は違う言葉なんです。
少なくとも、文法的には、「こうちゅう」は全体で名詞であり、「くちじゅう」は名詞+接尾語(or造語要素)なので、別の言葉なんですが、たまたま(?)両方とも「口中」と書くし、「風味が広がる」という今回のケースでは、どちらと解釈することもできそうだ、ということなんだと思います。
そして、この場合にどちらがいいかは、文脈というか、全体の雰囲気の中で判断するしかないと思います。
書いた人は、どちらのつもりだったんでしょうね?


[No.5090] Re: 読み方の質問 投稿者:読み方の質問  投稿日:2023/01/31(Tue) 07:50:24
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ご丁寧に答えていただきありがとうございます。
とても参考になりました。
読み手に分かりやすく表現できたらと思いながら点訳する日々です。