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[No.4813] カギの使い方について 投稿者:点訳サークルT&T  投稿日:2019/07/26(Fri) 21:08:26

豊田市福祉センターで点訳活動をしております、点訳サークルT&Tと申します。
みずほ点訳さんのお知恵を拝借したく、以前も投稿させて頂いたことが度々ありますが、今回もどうぞよろしくお願いします。

点訳のてびき改訂により、囲み記号の使い方も変更になりました。
第3版では「カギ類は、墨字の形にほぼ対応させる。」と記載されていた箇所が、第4版では「第1カギを用いることを基本とし、その中にさらにカギ類が必要であれば、ふたえカギを用いる。第1カギ・ふたえカギと区別して他のカギを必要とする場合に、第2カギを用いる。」と文言が変化しています。

将来の“夢”を発表する時間に、「ぼくの“夢”は宇宙飛行士です」と話した。
との文例がてびきにあり、“夢”の部分は第2カギが使われています。
もし“夢”が『夢』となっていた場合はどうでしょう?
第1カギ内であれば、ふたえカギの『ユメ』でいいのでしょうが、カギ外の『夢』も『ユメ』としてしまっていいのでしょうか。

書名などが『 』で囲まれていれば、カギの内外は関係なくふたえカギで点訳すればいいと思うのですが、カギ外の語句の強調にもふたえカギを使うのはルールに則っていないのではないかと考えます。いかがでしょうか。
書名などの など をどこまで広げて解釈していいものなのかも判断がつきかねますし、必要であれば第2カギを用いるとあれば、強調の大方は第1カギとふたえカギでまかなえるのかとも思えてしまいます。

同一語句の強調の場合、カギの内側と、カギの外側の強調記号が違うと、何か別の意味合いがあって強調記号を変えて点訳したのではないかと読み手に思われる可能性があるのかもと心配にもなります。
原本通りの点訳が許されたのは第3版までで、第4版からは変えなくてはいけないと思うことが正しいのかそうでないのかもよく分からないのが現状です。

また、てびきに記載はないのですが、『日本点字表記法2018年版』には、強調記号に指示符を用いることもあると記載があります。
その使い時をご存じでしたらアドバイス頂けますでしょうか。


[No.4817] Re: カギの使い方について 投稿者:えむ  投稿日:2019/08/11(Sun) 10:51:58


書き込みが大変遅くなって、申し訳ありません。
実は、カギについて、あまり真剣に考えたことがなくて、というと語弊があるんですが、『てびき』の第3版と第4版で大きく変わったという認識がなかったもので、とてもいい加減なことしか言えそうもなかったものですから…。

私は、第3版のときから、書名など以外は、まずは第1カギを使い、第1カギの中に入ってしまった「」には二重カギを使って、さらにそれらと区別したいカギには第2カギを使っていました。
ですから、少なくとも自分で打つときには、墨字で山カギやコーテーションマークのようなもので書いてある強意のカギであっても、他に会話などがあって競合するのでなければ、第1カギを使うこともあったように思います。
第1カギが最もポピュラーで、読む手間もかからないカギなので。
もちろんそれは点訳物の種類にもよりますが。
それは多分ずっと以前に先輩から教わったやり方だったのかもしれません。
改めて『てびき』や『表記法』を見てみましたら、確かに「墨字の形にほぼ対応させる。」と書いてありますね。
その「ほぼ」をかなり緩く解釈していたということでしょうか。
そんなこともあって、文言は多少変わったけれど、中身はおおよそ同じだと思っていました。

将来の“夢”を発表する時間に、「ぼくの“夢”は宇宙飛行士です」と話した。
の“夢”がもし『夢』だったとき、ですが、原本が第1カギの中でも外でも二重カギを使っているなら、点字でもそのままでいいのではないかと、個人的には思います。
おっしゃるように、強調された同一語句は、どこにあってもできるだけ同じ形で提示したほうがいいですよね。
ただ、墨字において、第1カギの外で強意の目的で二重カギを使うケースはあまり多くないようにも思います。

将来の「夢」を発表する時間に、「ぼくの『夢』は宇宙飛行士です」と話した。
という原本であるなら、点字でも、外を第1カギ、中を二重カギでいいのかな、と思います。
第1カギの中に入ってしまった第1カギは二重カギに変える、というのは点字でも墨字でも了解されていることですから。
あるいは、外も中も第2カギに変えてしまってもいいかもしれません。
発言部分の第1カギと区別する、ということで。
第2カギの出番は依然として結構多いと思います。
墨字におけるカギ類は種類が多いので、「区別したい」ということはしばしば起こってくるはずです。

そんなわけで、カギの使い方が大きく変わった、という印象はあまりなくて…。
こう言ってはお叱りを受けそうですが、「原本通りの点訳が許されたのは第3版までで、第4版からは変えなくてはいけない」と、そこまで厳密に考えなくてもいいのではないか、と勝手に思っています。
むしろ、「墨字の形にほぼ対応させる」という表現が、過度に「墨字の形」を意識させる弊害みたいなものがあり、それを薄める意図で、文言を変えたのかな、という感じを受けているのですが…。(勝手な憶測です)

指示符を使うこともある、ということは、3版にも書いてありました。
それが4版ではなくなったんですね。
指示符は普通、教科書や参考書、試験問題などでよく使います。
一般書でも、内容によっては、区別したいことがたくさんあって、3種類のカギでは間に合わないときに使ったことがあると思いますが、やはり稀なケースだと思います。
そこまでの必要はあまりないのではないでしょうか。
今回記述がなくなったのも、一般書での指示符の多用を心配しての措置かなぁ、と思ったり…。

すみません、個人的な思い込みで書いています。
違うご意見も当然あると思いますので、是非お聞かせください。


[No.4819] Re: カギの使い方について 投稿者:点訳サークルT&T  投稿日:2019/08/11(Sun) 20:40:18

えむさま。詳しく書いて頂き、どうもありがとうございます。

サークル内でも答えが出せないでいる段階で、とりとめのない文を安易に投稿してしまい、申し訳なく感じています。

こう言う言い方は良くないとは思いますが、てびきから得られる情報が少なすぎて、みずほ点訳さんのようにネットで情報発信をしているいくつかのグループの点訳方法をを取り入れてみたり、試行錯誤で何年か過ぎて来ましたが、第4版を手にしてからは、どう対処して良いものかの判断が出来ずにいました。

先日の投稿後、色々と考え、とりあえず当サークルの指針となる方法を考えてみました。

会話文に使われている記号が1種類であれば、第1カギで表し、〈 〉や『 』も使われていたら、第2カギで表す。
ふたえカギも会話に使わなければならない場合は点訳書凡例で使用意図を明記する。
会話文内の強調が『 』であれば点訳はてびき通りにふたえカギ。〈 〉や“ ”であれば第2カギ。
カギ外の強調は原本が「 」なら第1カギを使い、〈 〉や“ ”や『 』の場合第2カギ。

以上が基本的な使い方です。
第1カギ内の強調記号とカギ外の強調記号が違ってしまうこともありますが、何せ記号の種類が墨字ほど多くないので、そこは目を瞑る事にしました。

『 』は書名などに使う、という使い方として、当サークルでは実在する書名・楽曲や絵画等の芸術作品にふたえカギを使用し、小説内の架空本のようなものには、ふたえカギで表す事を凡例で断る事にしました。
以前は実在のもののみふたえカギとし、架空のものについては第1カギで表していましたが、読み手の混乱を招く恐れもある事から凡例にその旨明記する方法に変更しました。
ただ、断りを入れれば何でもあり?とならないよう気配りは必要ですね。
この方法が第4版に則しているのかが今もって不明ではあるのですが・・・。

視覚障害をお持ちの方の中でも、点訳に対する思いは様々で、多過ぎる強調記号は鬱陶しいとおっしゃる方と、原本通りきっちり点訳してほしいとおっしゃる方がいて、ルールに囚われすぎない臨機応変な対応をする事が大切だと痛感しています。

点訳の教科書はこれだ!と思える完璧な資料に巡り会えない(世に出回っていない?)中で、迷いながらの点訳は今後も続いていくのでしょうね。


[No.4820] Re: カギの使い方について 投稿者:えむ  投稿日:2019/08/13(Tue) 11:05:21

そうですか、T&T さんでは、とてもきっちりした点訳をしていらっしゃるんですね。
ここまできちんと指針を定めていらっしゃることに、敬服してしまいました。

私どもはもう少し、よく言えば柔軟に、悪く言えばいい加減に考えていて、原本もいろいろだし点訳者も違うのだから、最低、その本の中で一貫していればいいんじゃないか、というくらいのスタンスでやってきました。
もちろん、分冊するときには、書き方を決めておくことが必要ですし、そうでなくても校正段階で、ここはこの記号のほうがわかりやすいんじゃないか、とかいう意見交換はしますが…。

書名などが実在のものであるか、架空のものであるか、区別をする必要があるということも、考えたことがありませんでした。
そして、点訳方針を凡例で示すことも、あまりしていません。

おっしゃるように、読み手によってもニーズは違いますので、どなたが読んでくださるかがわかっている場合には、それに合わせるようにはしています。

T&T さんの方法を教えていただいて、とても参考になりました。
なかなか他のグループのお話を伺う機会がなく、気が付かないまま過ごしていることも多々ある中、情報の交換は重要だと思います。
ありがとうございました!


[No.4821] Re: カギの使い方について 投稿者:点訳サークルT&T  投稿日:2019/08/13(Tue) 21:49:05

私どもも他のグループとの交流はなく、迷ったときは『点訳のてびき』『日本点字表記法』『点訳のてびきQ&A』を読むぐらいしか解決の手段はありません。
ホームページを公開しているグループの情報を読んで参考にはしてきましたが、グループごとに違う手段を取られていて、迷いが増すこともしばしばでした。

ですが今回、みずほ点訳さんの方法も教えて頂き、私どもの点訳がピント外れではなかったことに安堵した次第です。

墨字では、言い回しや表現の仕方がどんどん様変わりしている昨今、6点の中での制約の多い点訳が、どこまで追いついているのかなあと考えることもよくあるのですが、時代遅れの点訳と読み手に思われないように努力しなければいけませんね。

みずほ点訳の皆様はメンバー間で、どんな様子で情報交換されたりしてお互いを高めていらっしゃるのかしら?
きっと素敵なグループなのだろうと想像しています。

また困ったときは、ここに訪問させて下さいね。
ありがとうございました。