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[No.4790] 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:sumakko   投稿日:2019/06/27(Thu) 00:31:01

いつもお世話になります。
前回の質問の方言に関連してですが、次のような記述があります。
「経理部さ行って、給与伝票ばごますって来るとじゃろ。頭のよか人じゃけん、転んでもたんだ起きる人ではなかもんな」(「 」は本文)
上記文章の「ごますって」ですが、広辞苑の「胡麻を擂る」の「他人におもねりへつらって、自分の利益を計る」の意味とは、文脈上違うようです。
ですので方言と思われるのですが、国語大辞典では「ごまする」が方言として2例採録されています。
1.悪がしこくずるい事をする(飛騨地方)
2.人の物をかすめ取る(長野県上伊那地方)  とのことです。
上記の文脈では2.の意味のようですが、九州地方ではなく(ないとも言い切れないのですが)、長野県の方言となっていますが、兵士は全国から応召されており、ある地方の方言が、部隊の兵士に使われている可能性もないとも言えません。

「あいつは、いつも胡麻擂っている」と言う場合、個人的には胡麻を擂るの「を」を省略した気分で話し、「胡麻」と「擂る」の間には、若干の切れ目があるのではないかと思います。
そこで、「ごますって」は「ごま■すって」としようと考えています。
一方、国語大辞典には「胡麻擂る」(ラ行五段活用)が見出し語になっており、(広辞苑、大辞泉等にはなく、「棹差す」「夢見る」「鞭打つ」のように一語化して、広く使われているとも言い難いのですが)、方言の「ごまする」が切って発音しているかどうか定かではなく、表記辞典やナビでは「ゴマスリ■ニンゲン」の例もあり、続ける可能性も否定できません。
皆様のお考えや、実例等を御教示ください。よろしくお願いします。
私は関西人ですが、みずほ点訳さんのホームグラウンドは愛知県ですので、「ごまする」について、御存知の方、是非、お教え下さい。


[No.4791] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:みなかみ  投稿日:2019/06/27(Thu) 10:05:21

 「ごます」は私にミニデータベースでは表記辞典以外に2タイトル4件あります:
  ごますり!!
  ごますり■やろー。(2件)
  ごますりも■たいがいに


[No.4792] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:sumakko   投稿日:2019/06/27(Thu) 11:50:10

みなかみさん、早速の書き込みありがとうございます。

「ごますり」ばかりなんですね。
「ごまする」とか「ごますって」は、よく使われると思ってましたが。

ありがとうございました。


[No.4795] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:えむ  投稿日:2019/06/29(Sat) 00:09:24

私自身は愛知県出身ではなく、いわゆる「共通語」で育ってきてしまったもので、地方の言葉に疎くて役立たずなのですが…。

ちょっとネットで探しておりましたら、群馬県の言葉で「あいつはすぐにごまする悪いやつだ」という表現に出会いました。意味は「誤魔化す」だそうです。
sumakkoさんが書いてくださった、長野県上伊那地方の「人の物をかすめ取る」とほぼ同じ使い方なんでしょうね。

最初、「ごまする」と聞いて、つい食物の「胡麻」という漢字を思い浮かべてしまったので、「人の物をかすめ取る」という意味がピンとこなかったのですが、そうか、「誤魔化す」の「誤魔」だったのか、それが転じたものか、と一気に腑に落ちました。いや、勝手に納得しただけですが…。

「誤魔化す」がもともとは「胡麻菓子」に由来する当て字だという説もあるそうで、結局は元へ戻ってしまうのですが、それはちょっと置いておいて、とりあえず、経理部に行って伝票を誤魔化してくる、というのなら、話はわかります。
伝票の記載内容を改竄するのか、紙を失敬してくるのかはよくわかりませんが。
たとえば、「電話をかける」「メールを送る」などが「電話する」「メールする」と変化することを考えると、「誤魔化す」が「誤魔する」と変わっても、それほど不思議ではないような…。

九州が舞台の話に離れた地方の言葉が混じることについては、多少の疑義はありますが、sumakkoさんがおっしゃるように、九州にこの言い方がないとも断言できませんし、九州の部隊に他の地方の人がいてもおかしくはないでしょうし。

もしここまでの仮説(?)に立つとして、じゃあマスあけはどうするか、ですが…。
「誤魔化す」という言葉はこれで1語で、「誤魔」という言葉があるわけでもありませんよね?
となると、切ることはできないような気もしますが、いかがでしょう?
それとも、「誤魔化しをする」の途中が省略されたのだから、「する」は離れたままでいい、とも言えます?


[No.4800] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:sumakko   投稿日:2019/07/01(Mon) 13:51:29

なるほどですねえ。
「ごまする」は、「誤魔化す」からの由来の可能性もあるのですね。
広辞苑にも「ごまかす」は(「ごまかし」を活用させた語)と書いてありますので、「胡麻菓子」に由来するという説もありえるのかもしれませんね。「黄昏る」と同じように、逆成語になるのでしょうか。

物語の背景が説明不足でしたが、舞台は満洲のソ連との国境に近いところで、第二次世界大戦の末期、ソ連軍の満洲侵攻前後を描いたものです。
兵士が「ごますって」と話す可能性として、方言以外に、兵士の隠語ではないかと思い、調べたのですが、もうひとつよくわかりませんでした。
ただ、食品業界の隠語で、賞味期限をごまかすことを「ゴマする」という言葉があり、「○日にゴマしといて」という風に使用するするようです。
「ゴマしといて」の「〜といて」は「〜ておいて」の話し言葉でしょうから、「ゴマし」は連用形と考えられ、それから判断すると、「ゴマする」はサ変動詞のようであり、「ごますって」とはならないと思われます。
「ごますっ(り)て」と活用するには、五段活用の動詞になるのかなと思います。(国語大辞典の「胡麻擂る」は五段活用となっています。)
兵士が話した「ごますって」の、ごまに誤魔か胡麻の字を充てることができるかどうかは、よくわかりません。平仮名のままの方がよいのかもしれません。
前回は、「ごますって」は「ごま■すって」と切るという考えでしたが、えむさんの言われるように「ごま」が独立しているかどうかわかりませんし、「あいつは、いつも胡麻擂っている」の胡麻擂ってとは意味が違いますし。
「ごますって」と続ける方が、雰囲気が出そうですし(雰囲気でマス空けの判断をするのは、いいことではないかもしれませんが)、「ごま■すって」とは、違う切れ続きにすることによって、通常の意味とは違う含意があるというメッセージになるかもしれませんので、今は「ごますって」と続ける方向に、考えが傾いています。


[No.4806] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:えむ  投稿日:2019/07/15(Mon) 23:04:15

sumakkoさん、ソ満国境のお話の点訳は、もう終わってしまったでしょうか?
今頃で申し訳ないんですが、今日、長野県安曇野あたり出身の知人に会ったので訊いてみましたら、「ごまする」「ごますって」と言う、とのことでした。
「人目を盗んで懐に入れる」「不正に自分の物にする」というような意味だそうです。
「ごまして」とは活用せず、「ごますって」という形になるらしいです。
食品業界で使われるものとは別の言葉なんでしょうか?
あるいは、方言や俗語などの中には、必ずしも文法どおりに活用しない言葉もある、ということでしょうか?
サ変動詞なのか、五段動詞なのか、疑問は解決しませんが、とりあえず、そういうふうに使っている地方はあるらしい、ということをご報告しておきます。


[No.4807] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:sumakko   投稿日:2019/07/18(Thu) 09:55:28

えむさん、知り合いの方に尋ねていただきありがとうございます。
愛知県岩倉市のHPには、その地域の方言として、「ごまする」が紹介されていました。意味は、「きげんをとる」という意味だそうです。今まで、出て来た例では、「ごまする」が方言として使われているのは、中部・関東地方のようですね。(九州地方は、なかなか見当たりませんが)

国語大辞典には「ごま」という見出し語があり、てきや・盗人仲間の隠語で、詐欺行為をいうそうです。また、方言としても「ごま」があり、詐欺行為・ごまかし(埼玉県)、いつわり(飛騨地方)だそうです。(漢字表記は無し)
ずるいことをするという意味の「ごまする」が、上記の「ごま」に由来するのか、「胡麻を擂る」の「胡麻」によるのか、語源的にはもう一つはっきりしないですね。

助詞の「て」に接続する場合は、今までの例では「ごますって」となるようなので、食品業界の隠語の「ごまする」とは違うようですね。こちらは「ごま」(多分、胡麻からの連想?)+「する」(サ変)と考えられるので、「ごま■する」とするのが妥当でしょうか。

語句の成り立ちや、活用形から「ごますって」の切れ続きを判断するのは、なかなか難しそうですね。結局は、方言としてどのように話されているか、ということによるのでしょうか。
「ごま」と「すって」の間に一瞬の切れ目があるのか、一続きで話すのか、
えむさんは、知人の方が話されるのを、どのように聞かれましたか。発音上の切れ目とか、アクセントとか、ニュアンスがわかればありがたいです。

現在、点訳中の作品は、上中下の三巻に分れており、終了するには相当かかりそうです。それまでは、軍隊関係の質問を多々すると思いますが、よろしくお願いします。


[No.4811] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:えむ  投稿日:2019/07/25(Thu) 00:42:41

長野出身の知人に再度訊いてみました。
「社長にごますってる」も、「会のお金をごますってる」も、発音は同じようです。
言う人によっても多少違うのかもしれませんが、アクセントや間ではっきり区別できるものでもないようです。

また、名古屋のメンバーからは、名古屋では「誤魔化す」意味では使わない、とのこと。

因みに「かどや製油」さんのHPに 、
「ごまをすり鉢ですると、すり鉢やすりこ木など、あちこちにベタベタとくっつきます。
その様子から、相手にこびへつらうことを「ごまをする」というようになった、といわれています。
また、江戸時代の文化・文政年間に、「胡麻胴乱(ごまどうらん)」というお菓子がありました。
小麦粉にごまを入れてこね、焼き膨らましたこのお菓子。ごまのよい香りはするけれど、なかはからっぽで、餡も入っていません。そこで人々は、見かけはよいけれど中身のないもののことを、 胡麻菓子(ごまかし)と言うようになり、これが転化して、人目を紛らすことの意味に使われるようになったそうです。」
とあるようです。

それが一部の地域で「ごまする」という動詞に転化したのか、あるいは全国的に転化したものの一部の地域にだけ残ったのかはともかく、やはりどちらも「胡麻」にルーツを持っていたみたいですね。


[No.4814] Re: 「ごますって」の切れ続きについて 投稿者:sumakko   投稿日:2019/07/26(Fri) 23:33:56

えむさん、再度、お知合いの方に尋ねていただきお手数をかけました。
「社長にごますってる」も、「会のお金をごますってる」も、アクセントや間ではっきり区別できるものでもないのですね。発音上では判断できなければ、結局は「ごまする」が「ごまをする」の「を」を省略した形か、一語かという、話し手の意識の問題ですかね。個人的には、話者は一語の感覚で話しているだろうと思いますので、「ごますって」と続けようと考えています。

「かどや製油」さんの胡麻に関する興味深い話の紹介ありがとうございます。
前にも書きましたが、広辞苑には「ごまかす」は(「ごまかし」を活用させた語)と書いてありますので、「胡麻菓子」に由来するという説も故あることかもしれませんね。
なお、ごまかすの語源では、ごまの風味や香りが、よりいっそう料理を引き立てることから「ごま味化する」という言葉が生まれ、しだいに「ごまかす」になったという説もあるそうです。
また、国語大辞典では、大言海の「ゴマノハイ(護摩灰)のゴマに、マギラカス、ダマカスなどのカスを付けたものか」という説を紹介しています。
語源は、調べると調べるほど、ますますわからなくなってきますね。