「言い換え」の中点というのは、『てびき』の2002年の改訂のときに新しく登場したものですね。それまでは、点字の中点は並列の言葉にしか使っていませんでした。並列以外はなくてもわかる、ということだったと思います。
それが改訂の折どういう理由で採用されるに至ったのか私は知らないのですが、点字でもそこに中点があることをはっきりさせたいケースがあったのだろうと思います。
ただ、『てびき』には「用いてよい」と書かれています。
『てびき』の「〜てよい」は、お勧めの意味だそうですから、勧められてはいるんですが、絶対に中点を入れなければならない、というほど強いものではないと思います。
『表記法』p114では、「墨字では、中点がさまざまな用途に使われているが、点字で中点を多用すると読みにくくなるので、最低限必要なところにとどめることが必要である。」と言っています。
もちろんこれは、装飾的な中点とか、「ラブ・レター」の中点とかは要らない、ということを言っているのだとは思いますが、それでも、言い換えの中点がどうしても必要だということはないような気がするんです。
『表記法』改訂の2001年当時とは事情が変わってきているのかもしれませんが、私は個人的に、なくてもいい記号はないほうがいい、と思っています。
ですから、「首相・犬養毅」が、肩書ともとれるし言い換えともとれるのであれば、中点はなくてもいいような気はします。
墨字でこういうところに中点を使うのは、字が続いているとパッと見てどこが切れ目かわからない、読みにくい、という「墨字の事情」があるからではないでしょうか?
「市議会議長長島氏」とか「ヴァイオリニストヴィウコミルスカ」など、同種の文字が並んでいると結構読みにくいので、中点を付けたくなります。
点字ではマスあけがあるので、その「墨字の事情」に付き合う必要もないと思っているのですが…。
もちろん、点字でも中点がないとわかりにくいケースや、原本の表記を忠実に伝えることが必要な場合は入れたほうがいいのでしょう。
これはほんとに個人的な意見です。
私が「言い換え」の中点の重要性をわかっていないのかと思いますし、確かに『Q&A』を見ると「言い換え」の場合には中点をつけることが当然のように受け取れますね。
別のお考えをお持ちのかたは多いと思います。お聞かせいただければありがたいです。
的外れでお答えになっていないかもしれず、申し訳ありません。