だれかおしえて - みずほ点訳
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[No.4970] Re: 武士の名前に続く敬称について 投稿者:えむ  投稿日:2020/09/13(Sun) 23:22:32
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こんなに日が経ってからの書き込みですみません。

「点訳ナビゲーター」によると、「上野介殿」も「内蔵助殿」も官職名だからという理由で続けていますね。

「上野介」は、上野国の次官に当たる職ですが、上野守は代々公家に割り当てられてきた官職(もちろんこれも名前だけ)で、武家としては「介」が上野の最高位(守と同等)らしいです。
「守名乗り」については、「本来は何々の守といって、地方長官の官名だが、それが江戸時代には自分で何々の守ときめて申請し、幕府の許可をもらえばよかった。だから筑後守が二人も三人もいることになる。(中略)空名だから一向に差しつかえがなかった。」(『時代考証事典』)という記述がありました。

「内蔵助」については、
「古く律令制下では中務省内蔵寮(なかつかさのしょうくらりょう)の次官の地位にあり、財政管理の役をになった。これがのちの武士の通名化をたどった。」(『日本人名関連用語大辞典』 すみません、国会図書館のサイトからの孫引きです)
「律令制官職に由来した通称として内蔵助の例があげられている。実名を知られるのを憚って使われた通称」(『苗字と名前を知る事典』 同)

これらを見ると、「内蔵助」も「上野介」も、両方とも昔の官職名から来ていて、でも既に実際の仕事とは関係なく、名前だけになっているところは同じです。

ただ、程度の差というか、違いはあると思うんです。
「上野介」が、名前だけとはいえ官職を強く意識していて、幕府の許可が必要なのに対し、「内蔵助」はもとを辿れば官職名に由来するとはいえ、ほぼ個人名に取り込まれている感じはします。
確かなことはわかりませんが、名乗るのにどこかの許可が要るとも思えないのですが…。

息子さんの大石「主税」も由来は官職名ですが、これを官職だから「殿」は続ける、と言えるのかどうか…。

もちろん、現代の棋士の阿久津主税さんやサッカー選手の藤本主税さんを、官職名由来だと言って「さん」を続けるわけにはいかないでしょう。
それは、阿久津さんに「主税」以外の名前がなく、どこからどう見ても個人名であるからでしょうか?
大石主税の場合、良金という個人名があり、「主税」は通称だ、という違いはありますね。
でも、官職名に由来しない通称もたくさんあるわけで、由来だけで切ったり続けたりするのもおかしい気がします。

…などと考えていると、わけがわからなくなります。

長い時間の経過の中で、形骸化したり意味が変わったりいろいろ変化があるわけで、それはたいてい徐々に徐々に進行するので、どこかに線を引くのはとても難しいんだと思います。
私の個人的な感じで言うと、どうしても線を引かなければならないとしたら、「上野介」と「内蔵助」の間でしょうか、「内蔵助」と「主税」の間ではないような気がするんですが…。
もちろん登場人物はこの3人だけではないので、一人ひとり事情は微妙に違うでしょうし、それに適切に対応するのは無理ですね。
「ナビ」が、「官職名だから」と一刀両断に続ける処理をしているのも、仕方ない気がします。

時代小説を点訳するのに、ここまで調べたり考えたりしないといけないのかどうか…。
tenさんが書かれているように、「さま」や「どの」を切るのは、固有名詞を浮き立たせるためですから、なるべくその目的が損なわれないようにしつつ、ある程度の柔軟さはあっていいように思うのですが…。

結局何の役にも立たない書き込みで、申し訳ありません。


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