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[No.4967] 武士の名前に続く敬称について 投稿者:ゆき  投稿日:2020/09/01(Tue) 09:38:44
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武士の名前に続く敬称の切れ続きについてお尋ねします
武士の名前は「苗字・通称名・諱」で成り立っているということですが
通称名に続く敬称も切れるということでしょうか
この通称名というのも官職名であったりすると続くのだと思いますが
官職名であっても実際にその職についていない場合の官職名に続く敬称は
どうすればよいのでしょうか
表記辞典では吉良上野介殿が続く例として掲載されています
では大石内蔵助殿はどうなるのでしょうか

過去記事にある質問でしたら削除いたします


[No.4968] Re: 武士の名前に続く敬称について 投稿者:ten  投稿日:2020/09/01(Tue) 20:41:17
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武士の名前に限らず、個人の名前に付く「どの」や「さん」等は、
人名を明らかにするために切るとなっていますので、
通称(ペンネームや源氏名等)であっても、
愛称や短縮形でないかぎり、切るのだろうと思います。
しかし、官位名は人名ではありませんので、そのあとの
「どの」「さん」等は続けて書くことになります。
吉良上野介は、本名は、吉良義央といい、「上野介」は官位名ですので、
表記辞典には続ける例として載っているのではないでしょうか?
実際にその職についているかどうかではなく、
また、通称として用いられているか否かではなく、
あくまでもその個人の名前かどうかで判断するのではないかと思います。

源九郎義経は、源が苗字、九郎が通称、義経が諱ということなのですが、
全部個人名ですので、九郎殿であれ、義経殿であれ、
「どの」は切ることになります。
同様に、大石内蔵助は、大石が苗字、内蔵助が通称、
諱が良雄ですので、「クラノスケ」は官位名や愛称ではなく、
大石さんのお名前の一部ですから、
オオイシ■クラノスケ■ドノとなると思います。
しかし、義経のことを九郎判官殿、と書かれていたら、
たとえ、義経が通称的に「判官殿」と呼ばれていたとしても、
判官は官位名ですので、クロー■ハンガンドノとなりますね。


[No.4969] Re: 武士の名前に続く敬称について 投稿者:ゆき  投稿日:2020/09/02(Wed) 14:42:50
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ありがとうございます


> 実際にその職についているかどうかではなく
> また、通称として用いられているか否かではなく、
> あくまでもその個人の名前かどうかで判断するのではないかと思います。

「上野介」は官位名ではありますが個人の名前として周知されています
「内蔵助」も形骸化されてはいますが官位名からきています
職についているかどうかが、判断の基準にならないのであれば
「内蔵助」と「上野介」の違いが理解できず混乱しています

そこまで厳密にする必要はないのか
時代小説の点訳をされるとき、みなさんどのようになさっているのか
ぜひお聞きしたいです


[No.4970] Re: 武士の名前に続く敬称について 投稿者:えむ  投稿日:2020/09/13(Sun) 23:22:32
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こんなに日が経ってからの書き込みですみません。

「点訳ナビゲーター」によると、「上野介殿」も「内蔵助殿」も官職名だからという理由で続けていますね。

「上野介」は、上野国の次官に当たる職ですが、上野守は代々公家に割り当てられてきた官職(もちろんこれも名前だけ)で、武家としては「介」が上野の最高位(守と同等)らしいです。
「守名乗り」については、「本来は何々の守といって、地方長官の官名だが、それが江戸時代には自分で何々の守ときめて申請し、幕府の許可をもらえばよかった。だから筑後守が二人も三人もいることになる。(中略)空名だから一向に差しつかえがなかった。」(『時代考証事典』)という記述がありました。

「内蔵助」については、
「古く律令制下では中務省内蔵寮(なかつかさのしょうくらりょう)の次官の地位にあり、財政管理の役をになった。これがのちの武士の通名化をたどった。」(『日本人名関連用語大辞典』 すみません、国会図書館のサイトからの孫引きです)
「律令制官職に由来した通称として内蔵助の例があげられている。実名を知られるのを憚って使われた通称」(『苗字と名前を知る事典』 同)

これらを見ると、「内蔵助」も「上野介」も、両方とも昔の官職名から来ていて、でも既に実際の仕事とは関係なく、名前だけになっているところは同じです。

ただ、程度の差というか、違いはあると思うんです。
「上野介」が、名前だけとはいえ官職を強く意識していて、幕府の許可が必要なのに対し、「内蔵助」はもとを辿れば官職名に由来するとはいえ、ほぼ個人名に取り込まれている感じはします。
確かなことはわかりませんが、名乗るのにどこかの許可が要るとも思えないのですが…。

息子さんの大石「主税」も由来は官職名ですが、これを官職だから「殿」は続ける、と言えるのかどうか…。

もちろん、現代の棋士の阿久津主税さんやサッカー選手の藤本主税さんを、官職名由来だと言って「さん」を続けるわけにはいかないでしょう。
それは、阿久津さんに「主税」以外の名前がなく、どこからどう見ても個人名であるからでしょうか?
大石主税の場合、良金という個人名があり、「主税」は通称だ、という違いはありますね。
でも、官職名に由来しない通称もたくさんあるわけで、由来だけで切ったり続けたりするのもおかしい気がします。

…などと考えていると、わけがわからなくなります。

長い時間の経過の中で、形骸化したり意味が変わったりいろいろ変化があるわけで、それはたいてい徐々に徐々に進行するので、どこかに線を引くのはとても難しいんだと思います。
私の個人的な感じで言うと、どうしても線を引かなければならないとしたら、「上野介」と「内蔵助」の間でしょうか、「内蔵助」と「主税」の間ではないような気がするんですが…。
もちろん登場人物はこの3人だけではないので、一人ひとり事情は微妙に違うでしょうし、それに適切に対応するのは無理ですね。
「ナビ」が、「官職名だから」と一刀両断に続ける処理をしているのも、仕方ない気がします。

時代小説を点訳するのに、ここまで調べたり考えたりしないといけないのかどうか…。
tenさんが書かれているように、「さま」や「どの」を切るのは、固有名詞を浮き立たせるためですから、なるべくその目的が損なわれないようにしつつ、ある程度の柔軟さはあっていいように思うのですが…。

結局何の役にも立たない書き込みで、申し訳ありません。


[No.4971] Re: 武士の名前に続く敬称について 投稿者:ゆき  投稿日:2020/09/22(Tue) 06:54:46
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詳しく調べていただいてありがとうございます
通称の扱いが難しいです

> 私の個人的な感じで言うと、どうしても線を引かなければならないとしたら、「上野介」と「内蔵助」の間でしょうか、「内蔵助」と「主税」の間ではないような気がするんですが…。

ご指摘の意味合いはわかるような気がします


> 「ナビ」が、「官職名だから」と一刀両断に続ける処理をしているのも、仕方ない気がします。

理由付けの限界というところでしょうか
時代背景によっても扱いが変化しているように思います

「一冊の本の中で統一されていればよい」ということを聞いたことがあります
おっしゃるように一人ひとり調べるにも限界がありそうですし
乱暴かもしれませんが大名、旗本クラスの通称の官職名は切るとか・・・
一冊の中での落としどころを探したいと思います
ありがとうございました